【連載全14話】第4話 ダットサン・スポーツ1000・・・軽さが走りに生きている! FRPボディーの名車特集

金属でできた製品というイメージが強い自動車ですが、なかには軽量化の観点から樹脂製のボディーを持つものも存在します。今回は、そのうちFRP(繊維強化プラスチック)をまとうモデルをピックアップ。週替わりで紹介します。

ダットサン・スポーツ1000

日本で初めて“スポーツ”を名乗ったモデルが、1952年に登場したダットサン・スポーツ(型式名:DC3)。戦前型から受け継がれたトラックと共通のシャシーにMG Tシリーズ風のオープン4座ボディーを載せていた。その後継として1957年に最初のプロトタイプがデビュー、1959年に発売されたのがダットサン・スポーツ1000(S211)である。

日産初の海外遠征だった豪州ラリーでクラス優勝を飾ったダットサン1000(210)のマイナーチェンジ版である211型のシャシーに、現存する国産メーカーのモデルとしては初となるFRP製の4座ロードスターボディー(巻き上げ式のサイドウィンドウを持たない)を架装。メカニズムは211型と同じで、サスペンションは前後リーフリジッド、エンジンは最高出力34PSを発生する1リッター直列4気筒OHV。シフトレバーがコラムからフロアに移された4段MTを介して車重810kgの車体を115km/hまで引っ張ると公表された。ベースとなった211型が車重925kgで最高速95km/hだったから、FRPボディーによる軽量化などで、最高速は20km/h向上したというわけだ。

しかし乗用車といえば営業車(タクシー)が主体だった当時の国内市場にこの種のモデルの需要は少なく、またFRPボディーの生産性の低さも相まって、半年弱の間にわずか20台程度がつくられたところで生産終了。翌1960年にはトーションバーによる前輪独立懸架を採用し、ボディーのデザインは変わらないものの材質をスチールに変更、そしてエンジンを初代ブルーバード(310)用の1.2リッターに換装するなどの改良が施された北米輸出専用車、SPL212となった。ちなみにこのSPL212型は、初めてペットネームとして“フェアレディ”(ただし当時の和文表記は“フェアレデー”)を名乗ったモデルだった。

[GAZOO編集部]

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