【TMS特集】あの時の愛車が復活!?~復活モデル新旧比較 ダイハツ・コンパーノ~
かつてダイハツに「コンパーノ」というクルマがあったのをご存知だろうか。1963年から1969年にかけて生産された小型車だ。当時のダイハツにとっては、待望の本格的乗用車だったという。しかし、1世代限りでコンパーノの名は途絶えてしまっていた。どこかレトロなテイストを感じるコンセプトカー「DN コンパーノ」は、“復活ネーム”なのである。
■1963年に登場した「コンパーノ」とは?
長らく日本の小型車の代表的存在となるトヨタ「カローラ」や日産「サニー」が発売される3年前にコンパーノはデビューしている。日本車らしからぬスタイリングは、イタリアのカロッツェリア・ビニャーレによるもの。セダンにつく「ベルリーナ」の名は、イタリア語でずばり「セダン」を表す言葉。当時の日本人にとってイタリア車はスポーティでカッコいい憧れのクルマ。ダイハツの開発陣もイタリア車に憧れを持ち、「日伊」のコラボレーションチームでコンパーノを開発したのだ。
東京モーターショー2017では、コンセプトカーとともに当時の「コンパーノ・ベルリーナ」も出品された。実はこのクルマ、ダイハツのエンジニアのご子息が所有するもので、今も通勤に使っているというから驚く。朱色のボディカラーは当時、ほかのダイハツのショーカーに使われていた色を再現したものだそうだ。オーナーもこのベルリーナも、まさか21世紀のモーターショーの壇上に並ぶとは思っていなかっただろう。
■50年のときを経て生まれた「DNコンパーノ」
では、今回出品されたコンセプトカー「DNコンパーノ」を見てみよう。2ドアのように見えるフォルムは、リヤのドアハンドルがうまく隠された4ドア。しかし、実際は「2+2クーペ」のような使い方が想定されており、「前席を優先した、大人2人がゆったり過ごせる室内パッケージ」としている。
もちろんそのデザインは、1960年代のコンパーノをオマージュとして、新しいダイハツ車を表現したもの。しかも、今ダイハツにはイタリア人のデザイナーが在籍しており、当時と同じく“日伊コラボ”でこのクルマを開発したという。見る角度によって表情を変えるボディカラーは、当時の色を現代的な解釈で選ばれた。エンブレムが当時と同じデザインになっていることにも注目したい。
とはいえ、昔のクルマのオマージュだけで作ったクルマではない。DNコンパーノには、「軽自動車やコンパクトカーを得意とするダイハツの技術力やデザイン力をアピールしたい」そして、「ダイハツのコンパクトカーへの想いを、原点に立ち返ってコンセプトカーに表現した」という、将来に向けたダイハツの本気度が伝わる意欲作なのだ。昔を知っている人にはどこか懐かしい、知らない人には未来的。DNコンパーノは、時代を超越した普遍的な魅力を持つとともに、これからのダイハツの意気込みを表した1台といえる。
[ガズー編集部]
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