レクサスUX vs アウディQ2 比較試乗レポート(その2)
欧州生まれのコンパクトSUVと市場を分かつことになる、レクサスのクロスオーバーモデルUX。今回はアウディQ2との乗り比べを通して、ライバル同士のテイストの違いを検証した。
オフよりオンの都会派2台
都会的で上質なクルマを送り出しているブランドといえば、日本のレクサスとドイツのアウディが思い当たる。洗練されたデザインと先進技術が支える走りが、国内でも多くの支持を集めているのはご存じのとおりだ。
そんな憧れのブランドの新たなエントリーモデルとなるのが、レクサスUXとアウディQ2である。どちらも、いま人気が高まっているプレミアムかつコンパクトなSUVのカテゴリーに属するモデルであり、オフロードよりもオンロード、砂利道よりも舗装路が似合う都会派だ。では、そのキャラクターにどんな違いがあるのか? 実際に乗り比べて確かめてみることにした。
- レクサスUXのハイブリッドモデルには、2WD車(FF車)とAWD車がラインナップされる。今回は後者に試乗した。
UXは、レクサスのSUV系ファミリーの中で最もコンパクトなモデル。2018年11月に登場したばかりの新型車で、レクサスとして初めてGA-Cプラットフォームを採用した、すなわちTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の理念に基づいて開発されたモデルである。自らを“都会派コンパクトクロスオーバー”と呼ぶとおり、SUVというよりはハッチバック車に近い仕上がりだ。今回は2リットルのハイブリッドシステムを搭載し、本革シートをはじめとする充実した装備がセリングポイントとなるUX250h“version L”のAWD車をチョイスした。
一方のQ2も、アウディのSUVであるQファミリーの中では最小のボディーを持つモデルだ。上級モデルに比べてカジュアルな雰囲気にまとめることで、若い年齢層を取り込もうとする一方、フォルクスワーゲングループの横置きエンジン用モジュールコンセプトであるMQBを採用することで、クラスを超えた走行性や安全性を手に入れている。日本では、パワーユニット別に1リットル直列3気筒ターボエンジンと1.4リットル直列4気筒ターボを搭載するモデルが用意されるが、今回は最上級グレードのQ2 1.4 TFSIシリンダーオンデマンド スポーツをチョイス。駆動方式はFFである。
- 1.4リットルのターボエンジンを搭載するアウディQ2 1.4 TFSIシリンダーオンデマンド スポーツ。そのモデル名は取材後に、排気量に基づく「Q2 1.4 TFSI」から、出力レベルを示す「Q2 35 TFSI」へと改められている。
サイズ以上の存在感
SUVの魅力のひとつに、見た目の強い存在感が挙げられるが、コンパクトSUVではそれが特に顕著だ。他のクルマに交じって駐車場に並んだ姿は、全高が低いこともあって確かにコンパクトだが、単独で走る姿は実に堂々としている。
例えば、UXのボディサイズは、全長×全幅×全高=4495×1840×1540mmとSUVとしてはコンパクトだが、厚みのあるボディのおかげでサイズ以上にマッシブな印象を受ける。フロントマスクも、大きなスピンドルグリルやしっかりと張り出した前後フェンダー、ボディカラーと異なるフェンダーアーチもUXの力強い印象の後押しとなっている。
- 大きなスピンドルグリルが目を引くレクサスUXのフロントまわり。上級グレードの“version L”には三眼フルLEDヘッドランプが標準で備わる。
一方のQ2は全長×全幅×全高=4200×1795×1540mmと、実際のボディサイズはUXよりもひとまわり小さいが、より直線的なデザインを採用したために、むしろUXよりも大きく感じられるほどだ。アウディの象徴であるシングルフレームグリルは、Qファミリー専用の八角形のデザインで、バンパーの大型エアインテークとともに、フロントビューに力強さを与えている。
最低地上高は、UXの160mmに対し、Q2は180mmとわずかに高く、そのぶん腰高の印象だが、全高はともに1540mmで、機械式駐車場への入庫に困らないのは、都会派の証しだろう。
- レクサスUX(写真左)、アウディQ2(右)ともに、全高は多くの機械式駐車場に対応できる1550mm以下に抑えられている。
質感のUX 広さならQ2
コックピットは、どちらも個性的だ。UXのそれは上質さにあふれている。運転席に陣取ると、和紙を模したという素材でカバーされたインストルメントパネルが視界に入ってくる。その繊細な仕上がりがUXの上質さを際立たせている。センターパネルをドライバーに向けたコックピットは、低いアイポイントや高めのウエストラインと相まって、包み込まれるような印象が強い。このクラスで電動調節式のステアリングコラムが備わるのもうれしいところで、上級モデルからの乗り換えを考えているダウンサイザーにウケるのは確実だ。
Q2のアイポイントはUXのそれに比べて高くなっており、開放的なコックピットに仕立てられている。インストルメントパネルのデザインはシンプルですっきりしていて、UXと比べると物足りなく思えるかもしれない。しかし、スイッチを操作したときのタッチや、インフォテインメントシステムのMMIを操作するロータリースイッチを回したときの感触など、すべてに上質さを感じるのはアウディならでは。また、フル液晶メーターのバーチャルコックピットも、先進性をウリにするアウディらしい演出だ。
後席のスペースは、UX、Q2とも大人が座っても十分な余裕がある。一方、ラゲージスペースは、Q2が405リットルであるのに対して、高さが確保されないUXは220リットルと狭い。UXの数少ない弱点といえる。
まるで対照的な乗り味
動力性能については、新開発の2リットルエンジンを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載するUX250hの前では、1.4リットルのQ2 1.4 TFSIはやや分が悪い。
UXは、最高出力146PS、最大トルク188N・mを発生する2リットルエンジンに、フロント:109PS、リヤ:7PSの電気モーターが組み合わされ、184PSのシステム最高出力を得ている。モーターで発進するUXは出足から力強く、走りだしてからも全域で素早いレスポンスと豊かなトルクで気持ちの良い加速が味わえる。アクセルペダルを大きく踏み込むような場面では、エンジンの回転の高まりとスピードの伸びにズレがなく、リニアな加速が楽しめるのもうれしい点だ。
- UX250hの走りは、なんといってもその力強さが光る。対するQ2 1.4 TFSIは軽快感が印象的だった。
1.4リットルのダウンサイジングターボを搭載するQ2も、ボディが1340kgと軽いこともあって、ストレスのない加速を見せる。アクセルを軽く踏む場面では気筒休止機構により燃料をセーブする一方、高回転までよどみなく回るスポーティさを持ち合わせている。とはいっても、UXのハイブリッドと直接比べると、加速の力強さやスムーズさでは及ばず。2リットルエンジンとAWDシステムのクワトロとの組み合わせが欲しいところだ。
ただ、Q2の走りには好感が持てる。UXは最低地上高が低く、アイポイントも低めということもあって、運転感覚はセダンやハッチバックとほとんど変わらないのだが、ランフラットタイヤを履くためにややラフな乗り心地が気になるのだ。Q2は、UXに比べるとアイポイントが高く、SUVらしさを感じる一方、走行時の挙動は落ち着いており、快適さではUXを上回っていた。
走りを含めた上質さが際立つUXに対して、カジュアルさや軽快さに好感が持てるQ2。性格は異なるが、どちらも魅力的なプレミアムコンパクトである。
(text:生方 聡/photo:田村 弥)
[ガズー編集部]
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