ドリ車を卒業して迎えたレクサスIS、今度はアメリカンカスタムに
父の影響でクルマ好きになり、メカニックとして就職した新里貫太さん(26才)。ドリフトを楽しむ愛車としてスカイライン、マークIIを乗り継ぎ、次の愛車として手に入れたのはレクサス・IS300h Fスポーツ(AVE30)の特別仕様車。どんな心境の変化があったのか教えていただいた。
「まだまだこのクルマでやっていきたいことはたくさんあります」
2013年から現行モデルとして販売が続けられている30系のISのなかでも、新里さんが愛車として選んだのは2015年式の前期型。しかもISシリーズとしては初採用されたハイブリッモデルだ。
「ISは去年手に入れたクルマで、それまではずっとドリフトを楽しめるように、と思ってベース車になるようなクルマを選んできました」
新里さんがドリフトに憧れるキッカケを作ったのは、かつてハチロク(AE86)に乗ってドリフトをしていたという父親の存在。幼いころから父親の昔話を楽しみに聞いて育ち、さらに『頭文字D』の影響も重なって、いつかは自分も父親とおなじハチロクを…と夢見ながら過ごしてきたという。
しかし、いざ免許を取得して愛車を探しはじめると、ハチロクは中古車相場の高騰を受けて手に入れることが困難な高嶺の花になってしまっていた。
ハチロクを手に入れるという幼いころからの目標は叶わなかったが、クルマ好きになった新里さんはもうひとつの目標であった自動車整備専門学校への入学を果たすこととなる。
「親父の影響でクルマに興味を持つようになったおかげですね。宜野湾市にある整備専門学校に入ったんですが、周りにクルマ好きでドリフトしたいというひとが多くて、20才になった年に自分でも手の届く価格だった日産・スカイラインのタイプM(HCR32)を手に入れました」
スカイラインを購入後は念願のドリフトを半年にいちどのペースで楽しんだという新里さん。「維持費もガソリン代もタイヤ代もすべて自分のバイト代で用意する必要があったので、なかなか本格的にというわけにはいきませんでしたね。ほんとに遊び程度でした」
そこから専門学校を卒業し、メカニックとなることを選択。整備工場へ就職すると、およそ1年後にR32スカイラインから2台目のクルマへと乗り換えることに。
ここでも基準のひとつとなったのは、ドリフト用ベース車両としての適正度の高さだった。「社会人になって予算的な余裕も少し増えたので、街乗りにも向いていて、なおかつドリフトもしやすそうなクルマを買おうと考えました。そして、オートマからマニュアルミンションに換装して公認取得済みのJZX110型マークIIにしました」と新里さん。
トヨタ・マークIIの最終モデルとして知られるJZX110系は、定番ドリフト車両として人気が高い車種のひとつ。さらに新里さんの友人にも兄弟車オーナーが多かったことから、パーツの融通ができるのも都合が良かったという。
それに加えて、新里さんにとってはかつて乗っていた2000ccのスカイラインよりも排気量が大きい2500ccの1JZ-GTEエンジンが発揮するパワフルさも魅力だったという。
マークIIに乗り始めてからはドリフトを楽しむ回数も増えたという新里さん。「最初からイジってあるクルマを買ったので、そのぶん遊ぶための余裕もありました」と当時を振り返るが、じつはマークIIを手放すことを考え始めたのもそれが理由のひとつ。
「マークIIで遊ぶのが楽しすぎて、このままだと自分が調子に乗りすぎて色々と疎かになりそうだと考えたんです(笑)。それで、いちどドリフトから離れて落ち着こうと思って、次の愛車を探し始めました」
しかし、候補として気になっていた210系クラウンに車種の狙いを定めて半年ほど中古車オークションをチェックしていたものの、目当てのクラウンは出てこなかったと新里さん。
そんななか、新里さんが次の愛車を探していることを知るクルマ屋から紹介されたのがこちらのISだった。
「レクサスに憧れはあったし、クラウンとちょうど予算が一緒くらいだったんですよね。そのときは25才でしたけど、この機会に乗っておかないともったいないなと思って決めました」
手に入れたIS300hは2500ccで4気筒の2AR-FSEエンジンを積むハイブリッドモデル。2500ccターボエンジンを積むマークIIからの乗り換えとなったが、ハイブリッドのモーターが加わるぶん、過給器がついていなくても楽しいと新里さん。
沖縄県内を遠出するツーリングに出かける仲間は専門学校時代の友人が多いいっぽうで、高校時代の友人はいっしょにゴルフを楽しむメンバーが多いという新里さん。
これは、小学校から高校まで続けた野球部を引退してから部員たちと始めた趣味だそうで、父親のお下がりのゴルフクラブを積み込んで出かける際にも愛車は大活躍しているという。
そして「ちょっと落ち着こう」と乗り換えたものの、これまで2台の愛車をカスタムして遊んできた新里さんとしては、常にいっしょに過ごす相棒となれば気になる部分のカスタムを加えたくなるのは必然。
「このクルマを買うと決めてから納車されるまでの間に、付けたいと思うパーツを先に手に入れていたりもしました」といい、サンルーフの後部にはドリフト車両のドレスアップアイテムとして定番のルーフスポイラーを追加している。
ちなみに「ドリフトに使うことを考えるとボディのゆがみや強度が気になって、これまでは避けてきたんです」というサンルーフも、このIS300hのお気に入りポイントのひとつだ。
ちょっとしたこだわりとして教えてくれたのが、通常はブレーキの点灯時に消えてしまうテールライトのポジションライトを、配線加工キットを使用して同時点灯するようにしている部分。リヤビューの迫力をアップさせる要素として機能しているのだ。
また、このIS300hはFスポーツのなかでもレクサスの日本開業10周年を記念して発売されたX Lineという特別仕様車だったといい、車両購入にあたってはその点も新里さんの背中を後押しした。
その違いが黒くデザインされたホイールと、赤と黒のツートンでコーディネイトされているインテリア。アイコニックなスピンドルグリルにもブラック塗装が施されていて、独特の雰囲気を醸し出している。
ふと車内を見ると、センターコンソールに新里さんの乗るISではなくRC Fのトミカ製ミニカーが置かれているのが目に入った。
「職場の友人が納車祝いにプレゼントしてくれたんですけど、ISのミニカーが手に入らなかった、ということでした(笑)。でも嬉しかったのでずっと置いています」と新里さん。
「日本ではイジってる姿をあまり頻繁には見ないですが、情報を調べると海外では結構いるようなんですよね。自分もボディをもっと大きく見せるようなカスタムが好みなのでエアロパーツ、ホイール、マフラーといろいろなところをイジって楽しんでいきたいと思っています」
愛車のこれからの姿を想像するとき、参考にしているのは海外でのカスタム例だという新里さん。
まだ昨年手に入れたばかりだという愛車IS300hが、アメリカンテイストを盛り込んだ個性的なカスタムカーに変貌していくことは間違いなさそうだ。
取材協力:オリオンECO 美らSUNビーチ
(⽂:長谷川実路 / 撮影:平野 陽 / GAZOO編集部)
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