スバル・インプレッサWRX 好きなポイントはボクサーエンジン、ノーマルなスタイルとボディーカラー

ボクサーエンジンの気持ちよさに魅了され、スバルインプレッサWRX(GC8)のフルノーマル、かつ外板色をホワイトに指定して探したという20代の『そーた』さん。走るのが楽しすぎて半年で走行距離も増えてしまっているという愛車へのこだわりとカーライフを伺った。

スバル車の歴史を語る上で、ラリーは欠かすことのできない主戦場といえるだろう。レオーネやレガシィで4WDの実力を確信し、満を持してWRC(世界ラリー選手権)に投入されたのが1993年にデビューしたインプレッサ(GC8)。その後1995年にはマニュファクチャラーズタイトルに加え、ドライバーズ部門でもワンツーのダブルタイトルを獲得。さらに1996年、1997年にもマニュファクチャラーズタイトルに輝くなど、WRCにおけるスバル黄金時代を築き上げ、多くのスバリストを育てていったのだ。
そんなスバル・インプレッサ(GC8)のポテンシャルに惚れ込み、半年かけて理想の1台を手に入れたそうだ。

「このインプレッサを手に入れる前はBP5型のレガシィに乗っていたんですよ。ちょうど高校生の時に母親がアウトバックの代車としてレガシィを借りてきたんですが、そのスタイリングがすごくカッコよかったのが印象的で、免許を取ってすぐにレガシィを買っちゃいました。NAのワゴンだったんですが、4000rpmあたりでのカムの切り替えが気持ちよかったのはいい思い出ですね。購入したのは走行距離15万kmほどのクルマだったのですが、すぐに3万kmくらい走っちゃいましたよ」
いちど愛車にしたらボクサーエンジンの魅力にどっぷりハマってしまったというスバル車オーナーに出会うことは多いが、そーたさんもまさにそのひとり。基本的にはノーマルのスタイリングが好みだったこともあり、カスタマイズはマフラーくらいに留めていたというが、自分だけのレガシィとして愛着は日増しに深まっていったという。

しかし、そんなレガシィだがオーバーヒートによるエンジンブローで別れを余儀なくされる。
「次のクルマって考えた時、やっぱり水平対向エンジンが候補にあがったんです。それに加えて、勤め先のクルマ屋でインプレッサWRXに乗る機会があったんですけど100mくらいしか動かしていないにも関わらず動きからエンジンのパワー&サウンドまで感動しちゃって。次に買うならインプしかないって思ったんですよ」
ちょうど同僚にGC8オーナーがいたこともあり、購入に関するアドバイスをもらいながら探しはじめたのは1年ほど前のこと。青森県にあるインプレッサ専門店に問い合わせながら、自身でもSNSなどを活用して情報を収集し、半年かけて巡り合ったのが1998年式のスバル・インプレッサWRX(GC8)だった。

車両を探していた時、特にこだわったのはフルノーマルであること。そしてボディカラーはホワイト一択だったという。
「探してみると意外にホワイトの車両って少なくて一度はGC8を諦めて鷹目(GDB)も考えたんですが、やっぱりこのスタイリングは捨てがたくて探し続けました。フルノーマルに限定したことも見つけにくかった要因だったのかもしれませんね」
しかし諦めることなく探し続けた結果、理想といえる車両に巡り合うことができたと笑顔で語ってくれた。

レガシィ同様にインプレッサもノーマルのスタイリングが好みだというそーたさん。そのためホイールはスバル純正オプションで設定される16インチをセットし、サスペンションも純正の状態をキープしている。
また、細かい部分ではヘッドライトをカットレンズからマルチリフレクタータイプに変更。年式的にはぎりぎりカットレンズが装着された車両だったため、ヘッドライトを入れ替えたことによってイメージが変わり大きな満足感を得られたという。
いっぽうで、マフラーに関しては気持ち良いボクサーサウンドが楽しめるように社外品に交換しているという。こういった仕様もこだわりが感じられる部分だ。

GC8が造られた当時はキーONやラジオ起動と連動して昇降するオートアンテナが全盛の時代。現在ではボディアンテナが主流になってしまっているため、こういったギミックもそーたさんたちのような若い世代にとっては新鮮に感じられるという。
ちなみに、経年劣化で動かなくなってしまったり、スムージングされてしまっていたりする車両も見かけるが、そーたさんのインプレッサはしっかりと機能する完動品が残されている。

インプレッサを熱望した最大の理由が水平対向エンジンのEJ20ターボエンジン。NAながらレガシィ時代に魅力を知った水平対向エンジンは、パワーも十分でなおかつサウンドも心地良い。「仕事柄さまざまなクルマに乗る機会があるけれど、このフィーリングは他では味わえない」と、乗るたびにどんどん好きになっているそうだ。
「エンジンの調子はまったく問題ないんですが、GC8オーナーの会社の先輩からエンジンマウントとミッションマウントは交換した方がいいよってアドバイスをもらったんです。すでに部品は購入してあるので、今後自分で交換してみようかなって思っています」
先輩オーナー直伝の要点をおさえたメンテナンスによって、このフィーリングを長く維持していこうと考えているというわけだ。

車内はというと、ステアリングをスパルコ製に変更。純正よりも小径にしてクイックなハンドリングに変化させているほか、ポジションも自分好みにアレンジしている。同様に、運転するたびに手に触れる部分としてシフトノブも交換済みだ。
このあたりは走らせて楽しみたいスポーツカーだからこその変更点と言える部分だろう。
またステアリング交換時にホーンの配線を切ってしまったため、ホーンボタンはコラム下に新設したという。

ドアの内張りなど内装パーツのコンディションも良好で、前オーナーが大切に乗っていたことを証明している。ノーマルシートのコンディションも良好で、クッション性やホールド性には不満はなし。モノトーンのスポーティなデザインも気に入っているので、この状態をキープしていくつもりとのことだ。

半年がかりで見つけたというこのインプレッサは“2桁ナンバー”を受け継ぐことができるということも購入の決め手となったポイント。
「もっと探せばさらにいい個体があったかもしれません。でも2桁ナンバーは今では手に入りませんし、このナンバーを受け継ぐということはこのクルマの歴史を受け継ぐってことにもなる気がして、その価値も含めると2度と出会えないクルマじゃないかなって」

「NAで190psくらいだったレガシィに対して、このインプレッサは280psもあるのでパワーの違いに対する驚きは当然なんですが、ボディが小さくなって扱いやすさも向上しているので、走らせる楽しみは断然インプレッサの方が高いですね。年式で考えるとレガシィの2世代前くらいなのに、本当に感動級ですよ」

5ナンバーサイズのコンパクトなセダンに、ハイパワーなエンジンという、まさに当時ならではのパッケージが魅力のインプレッサ。だからこそ、オリジナルの状態をキープして乗っていきたいというのもひとつの考え方であり、ノーマルが希少になってきているからこそ、注目度が高いのかもしれない。

「納車からまだ半年ほどですが、1万キロくらい走っちゃっていますね。4月までは通勤のみに使用していたんですが、慣れてきたら峠とかも遊びに行くようになって。気が付いたらガソリン代がひと月で4万円とか5万円を超えてきちゃって…なんて言いながら、先日もひとりで仙台までドライブしたんですが、往復でガソリンを100Lくらい使っちゃったんですよ。そろそろ引き締めないといけないかなって考えていますが、走るのが楽しいんですよね」
GC8の走りに惚れ込んで手に入れただけに、ガソリン代度外視でそのパフォーマンスを満喫したくなるのは必然だろう。

今後は大小さまざまなメンテナンスや補修をおこないながら、末長く良好なコンディションを維持し、その走りをキープし続けていきたいというのが目標とのこと。
初代レガシィが樹立した『10万キロ世界速度記録』でも証明されたEJ20エンジンのタフネスさがあれば、きっとそーたさんの望みも叶うはずだ。

取材協力:旧弘前偕行社

(⽂: 渡辺大輔 撮影: 金子信敏)

[GAZOO編集部]

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