夢はF1ドライバー! レーシングドライバー小山美姫さん

FIA-F4選手権をはじめとするさまざまなモータースポーツで活躍する小山美姫さん。話題の女性限定レース「競争女子選手権」では、ポール・トゥ・ウィンを飾り、初代ウィナーに輝きました。今最も注目を集める女性ドライバー、小山さんの素顔に迫ります。

プロフィール
小山美姫(こやまみき)
1997年9月5日(19歳)。B型。神奈川県出身。5歳からレーシングカートに乗り、2012年のMAX FESTIVAL(日本一決定戦)ではタイムトライアル4位、予選A×B3位、予選A×C9位、総合6位。プレファイナル12位(降格)。ファイナルはトップ争い中後方からの追突により29位。2015年からFIA-F4選手権に出場し、2016年はインタープロトシリーズに出場。2017年はレプリスポーツからFIA-F4選手権にフル参戦。スーパーカーレースやN-ONEオーナーズカップにも出場しています(2017年)。女子高生に扮した小山美姫選手がホンダS660に試乗する動画CM「しじょうじょし」の動画も話題に。

――現在のレース活動について教えてください。

FIA-F4選手権や競争女子選手権、FCR-VITAレースにフル参戦の他、スーパーカーレースやN-ONEオーナーズカップにも出場しています。今年もインタープロトに乗れるかも……。

FIA-F4選手権は将来のトップドライバーを目指す若手のための登竜門的レース。「地べたを走っているような低い姿勢と自分で操っている感覚が味わえるのがフォーミュラの魅力です」。これまでの最上位は2016年の第2戦での11位
昨年9月に行われたメディア対抗ロードスター4時間耐久レースでの一コマ。小山選手はベストカーチームのドライバーとして出場し、山野哲也(隣)さんと一緒にレースを戦いました

――レーシングドライバーになろうと思ったきっかけは何ですか?

カートに乗ったのがきっかけです。お母さんがジャパンカートという雑誌を間違えて買ってきて、父と2人でそれを見て楽しそうだから乗りに行こうと。初めて乗ったのはオートパラダイス御殿場です。最初は趣味で始めましたが、レースの魅力を感じ本気でやるようになりました。

――モータースポーツのどんなところに魅力を感じていますか?

勝った時の喜びがハンパではないところですね。レースだけに限らず勝負の世界には言えることだと思いますが、特にレースというのは全部がそろわないと勝てません。何が欠けても一番にはなれません。なので、速い人が勝つのではなく、勝った人が一番。もともと1番になることが好きで、何をやってもそこそこできちゃうのですが、レースだけはすぐに勝てなくて。カートをやりながら、こんなに難しいものがあると思うようになり、知れば知るほどはまっていきました。難しい分、勝った時の喜びも大きいです。

競争女子選手権の優勝直後の様子。「スタートで抜かされることは想定内でしたので、冷静にレース展開を考えていました。何よりも自信があったので、レースアクシデントもあり一時は3位まで下がりましたが、勝つことしか考えていなかったのです」
競争女子選手権での小山選手の走り。マシンはオリジナルシャシーにヴィッツのエンジンとミッションを搭載したVITA(ヴィータ)-01です

――男性と一緒にレースをすることに抵抗はないですか?

男のスポーツと思われがちですが、5歳の頃からレースの世界で男と戦ってきていますし、抵抗は全くありません。小さい頃から相手が男であっても女であっても負けるのは絶対許さないのが父親であり、そのように私も教育されてきました。ですから父親も私もモットーは「何でも一番絶対勝つ」。結果を残すことで、技術的にも男女の差がないということを世界中の人に証明していきたいと思っていますので、頂点に立つまで頑張り続けたいです。

FIA-F4のコクピットに収まる小山選手

――大変なところはどんなことですか?

やはり環境づくりではないでしょうか。速くてもお金がなければ乗れない。お金があっても速くなければ勝てない。シートがなければ始まらないので、確保するためにスポンサー活動をし、それからは勝つためにドライバーとしての努力をしていかなければならないと思います。私は女ですので、男性との体力面での差をなくすため、主に普段の生活ではトレーニングに励み、乗る時はすべてのことを含めベストな体制で挑めるように日頃から行うことはたくさんあると思います。

――ドライバーとしての目標は何ですか? それをどのように克服していますか?

今年は自分自身のスキルアップを目指しています。自分の引き出しを増やせるように、カテゴリー問わず、どんなクルマでも早く、速く走れるように成長することが課題です。クルマに操られるのではなく、クルマを操れるようにドライバーとしての腕を磨きたいです。また、クルマに乗れる時間は短いので、日頃できることを行い、数少ない貴重な練習の時に、今ある自分の力を発揮できるように備えています。

――乗るクルマが毎回異なるのも大変では?

今年はスポット参戦も含めると4カテゴリー参戦させて頂いています。頭が混乱しそうにもなりますが、それを狙っていました。 対応力や柔軟な頭、視野の広さなど、着実に物事を進めていくことが必要になってくると思います。私は自分が成長できる場を作りたかったので、あえて厳しい環境を選択しました。また、乗る回数を重ねていくことで身体が反応できるようになっていくと思ったので、とにかく乗る回数を増やしたかったという想いもあります。カテゴリーが違うということは、クルマも違いますが、タイヤが4つあることに変わりはありません。クルマの特性が違うので走らせ方も当然違い、色々なクルマに乗る機会をいただけることで、すごく勉強になっています。

走行直後には乗った時のフィーリングを忘れないようにメモをとっています
エンジニアとのコミュニケーションもレーシングドライバーの大事な仕事。真剣さが伝わってきます

――ドライバーとしての最終目標は?

F1ドライバーとして活躍することです。今はF4ですが、自分で自分の可能性を信じ、応援して下さる方がいる限り頑張り続けます。

競争女子選手権でのトークショーの様子。ファンの注目度は日に日に高まっています

――お休みの日はどのように過ごしていますか?

サーキット以外の日は仕事をしていますので、もう何か月も休んでいない状態ですが、クルマが私の生きがいなので、好きなことをさせていただき、日々幸せを感じています。すべての時間、自分の人生をクルマにかけています。

19歳の女性レーシングドライバーの素顔は、ストイックに自分を追い詰める求道者のよう。小山さんにとって男女の区別をつけることは不要かもしれません。今シーズンのFIA-F4選手権は念願のフル参戦。サーキットでの活躍を期待しています!

フリーライター:ゴリ奥野
86に乗りながら世界中の愛車やモータースポーツを取材するフリーライター

[ガズ―編集部]

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