SUVが増えてきた! タイ「バンコク」にはどんなクルマが走っている?
日本からの海外旅行先としても人気の東南アジアにある国、タイ。その首都であるバンコクをはじめて訪れるクルマ好きの日本人は、きっと驚くことでしょう。なぜなら、「ここ日本か!?」と錯覚するくらいに多くの日本車が走っているからです。
そんなバンコクの繁華街の中心といえる場所にあるのが、アソーク交差点。東京でいえば、六本木交差点や新宿三丁目交差点に相当するような場所です。この周辺で、行きかうクルマをチェックしてみました。バンコクの街では、どんなクルマが流行っているのでしょうか?
アル/ヴェルが大流行中。日本未導入のあのレクサスも!
タイの日本車率は約9割と言われていて、これは東京23区の日本車率よりも高いほど。そう聞けば、いかに現地で日本車が愛されているのかイメージしやすいでしょう。
驚くのは、「アルファード」や「ヴェルファイア」の多さ。アソーク交差点が富裕層の集まる繁華街にあるとはいえ、3分に1台ほどのペースで見かけるのだからビックリです。ちなみに、アル/ヴェル両車とも現地生産ではなく日本からの輸入車で、販売価格は日本円にして約1500万円~2100万円。
日本よりも高額なのは高い関税がかかっているからですが、物価水準が日本よりもずっと安いタイでこの価格のクルマがたくさん走っているのだから驚きですね。そして増えているのが、日本未発売のあのレクサス。
そう、レクサス「LM」です。アルファード/ヴェルファイアは富裕層が買うクルマですが、“さらに上のモデル”があれば、そちらを選ぶ人も少なくないのは当然のなりゆき。アソーク交差点では、だいたい10分に1台ほどの頻度でLMを見かけました。
救急車まで!? カスタマイズ車両の多さは相変わらず
タイの人たちは、カスタマイズが大好き。エアロパーツやアルミホイールといった、さまざまなカスタマイズパーツを装着したクルマがたくさん走っています。しかも、個人所有のクルマだけでなく、法人所有のタクシーのカスタマイズ車も少なくないのです。
さらにはこんなクルマまで。上の写真は日本でも見慣れたハイエースですが、サイドに描かれた文字をよく見てみてください。
そうです。これは救急車(おそらく民間救急車)なのです! 「AMBULANCE」と書いてあるので救急車であることがわかりますが、その佇まいはスポーツカー風。ホイールとタイヤを変えて走りが、シャープになるのかも!?
コンパクトサイズのSUVがどんどん増えている
3年ぶりにバンコクの街を走るクルマを定点観測して気が付いたのは、コンパクト&ミドルクラスのSUVが大幅に増えたこと。かつて、タイでSUVといえばトヨタ「フォーチュナー」や三菱「パジェロスポーツ」などピックアップトラックと共通のラダーフレームを持つ大型モデルが主流でした。しかし、今はモノコックボディのコンパクトSUVが勢力を拡大中。
しかも、信号待ちの車列の中には必ず1台、多いときには2台も3台も並ぶトヨタ「カローラクロス」の多さには驚くばかりです。これまで、コンパクトカーはセダンが中心でしたが、この2年ほどでSUVへの大転換が起きていることを実感します。
中国車も頻繁に見かけるようになった!
もうひとつ、3年ぶりのバンコクで気づいたのは、中国ブランドのクルマが増えていること。上海汽車系列の「MG」(英国発のブランドだが現在はエンジニアリングも含めて中国)やGWM(長城汽車)はタイ国内に工場を持ち、タイ向けの車両を現地生産しています。特にMGは、わずか数年の間に見かける頻度が増えました。
タイの人々も以前は日本の製品に対する憧れが強く、中国製品に不信感を持っていたようですが、今どきの若い人たちは、かつてほど日本の製品に対する憧れがなく、またスマホで慣れ親しんだ中国の製品を購入することに抵抗がないようです。
BEVもジワジワと増加中
そして、中国車の台頭とともに感じた変化がBEV(電気自動車)を見かける頻度が高まっていること。新型コロナウイルス感染拡大前にバンコクを訪れたときは、ほとんど見かけませんでしたが、今では「ときどき走っているね」くらいの頻度で見るようになりました(あくまでも大都市の中心部での話ですが)。
バンコクのクルマ社会も、世界の動きをしっかり反映している
こうしてバンコクの中心で道路の様子を見て感じたのは、バンコクのクルマ社会も世界の動きをしっかりと反映していること。SUVやBEVの増加は先進国からはじまった動き、一方で中国車の台頭は新興国の動きですが、その両方を感じられるのがタイのおもしろいところだと感じました。
(取材・文・写真:工藤貴宏 編集:木谷宗義 type-e+ノオト)
[GAZOO編集部]
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