【日産 サクラ 新型試乗】軽ユーザーの一日の走行距離は50km以下って言うけれど…岩貞るみこ

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今回のワンポイント確認は、「軽自動車及びコンパクトカーのユーザーの約8割は、一日あたりの走行距離が50km以下って言うけれど、電気自動車(以下EV)の日産サクラ』は本当に50kmの距離を安心して走れるの?」である。

日産サクラと、三菱『ekクロスEV』。基本的なEVシステムは同じなので、インプレはekクロスEVの試乗記を読んでもらうとして、サクラではこのワンポイント確認をすることにした。

一充電走行距離180km。カタログにはそう記されている。ただしこれは、カタログに記載するためのWLTCモードで測定した場合である。WLTCとは、Worldwide-harmonized Light vehicles Test Cycleの略であり、「市街地モードや高速道路モードなど、各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な試験法」である。だけど、エアコンやカーナビやワイパーやステレオなどを使えば、電力を消費する。つまり、これらをすべてオンにして、いつも渋滞にはまるようなところを走っている人は、満充電でも180kmは走れないのだ。

では、WLTCよりももっと実際の走行に近い状態で走ったらどうなるのだろう。50kmという距離を、バッテリー残量が尽きそうになって胃がめくれる思いをせずに走れるのだろうか。

エアコンは21度に設定、一般道の走行は不利?
試乗開始である。メーターに表示されているのは、バッテリー残量98%、走行可能距離は145kmである。えーと、満充電で180km走れるはずなので、180kmの98%は176.4kmでは? なぜに145km?

これは、私が試乗する前に運転していた人の走行パターンで計算しているためである。私の前の人がWLTCモードと寸分たがわぬ運転をしていれば、176kmほどの数字が示されるのだろうが、そうではないため、「前の人が走っていた調子で走るなら走行可能距離は145kmですよ」ということだ。

まずは、エアコンをオンである。なんたって外気温は31度。エアコンなしでは熱中症で倒れてしまう。設定温度は21度。住居やオフィスでは28度が推奨されるところだが、直射日光を鉄板に浴びる車内では、申し訳ないけれど、21度にしなければ干からびてしまう。ついでにカーナビも自動的にオンになった。

今回の試乗距離は、50km。内訳は、高速道路を20km、一般道30kmである。まず、高速道路に入る。首都高速~首都高湾岸線ゆえ、速度は控えめ。だいたい60~80km/hという速度である。電力を消費しにくい速度帯ゆえに20km走ってもメーターの走行可能距離は12km分減っただけで133kmと表示していた。

そして一般道。軽い渋滞や信号待ちなどを繰り返すと、実際に走った距離よりも、メーターの走行可能距離がぐんぐん落ちていく。直前まで高速道路だったぶん、よけい落ち方が大きいようだ。

50km走ってバッテリー残量は
そして、最終的な数字は、

走行時間:約2時間
走行距離:50.9km
走行可能距離:91km
バッテリー残量:61%

である。走行可能距離が91kmもあれば、胃がめくれるほど不安になることはない。日々50km程度走るという人にとっては、これは十分な性能だと言える。

また、メーカー側の「2日間は充電をしなくてもよい」という言葉を検証すると、今回のような走り方をした場合、2日目の走行終了時は、バッテリー残量24%、走行可能距離は、37kmということになる。走行可能距離37kmというと、多少、不安にはなるものの、カーナビの画面には、充電スポットの場所が示され、ついでに高速道路を走行中は、次のインターまで進むとバッテリー残量がどのくらい減るかの電池マークが表示されているので、不安なときは早めの充電で対応できるだろう。

一日50km程度の走行距離なら
結論。一日50km程度走行する人なら、必要以上に心配せずに走ることができる。ただ、3日は持たないため、適当なタイミングで充電することを勧めると同時に、エアコンやカーナビなどの電化製品だけでなく、タイヤの空気圧が減っていても燃費は悪くなるので、タイヤの点検もお忘れなく。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「ハチ公物語」「しっぽをなくしたイルカ」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。最新刊は「法律がわかる!桃太郎こども裁判」(すべて講談社)。

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