【三菱 アウトランダーPHEV 試乗】思いのほかスポーティで自在度の高いハンドリング感覚が好印象…河村康彦
初代『プリウスPHV』に続く日本の量販プラグインハイブリッド・モデルとして、現行モデルがデビューをしたのは2012年末。すなわち、フルモデルチェンジが行われてもおかしくないこのタイミングを、しかし再度”大幅リファイン”でやり過ごさなければならないというのは、このブランドが犯したかつての「不徳」の影響を、どうしてもまだ感じさせられてしまう話題でもある。
一方で、駆動用バッテリーの容量アップや組み合わせるエンジンの一新など、ハンディキャップがあるからこそ腹を括ったという覚悟が伺えるのも、今回の大規模なリファインの特徴。こうして、ハイブリッドシステムに大きく手が加えられた最新モデルに乗れたのは、まだナンバープレートが付く前の段階ゆえ、「クローズドされたサーキットでの短時間走行」という条件付きとなった。
10.5秒という0-100km/h加速の発表値以上に加速が素早く感じられたのは、ゼロ発進初期にこそ大きなトルクを発する電気モーターの特性ゆえ。そんなタイムが従来型の11秒を上回るというのは、強化をされたリアモーターの出力に対して、そこに持ち出させるバッテリー出力も強化されたことを裏付けてもいる。
せっかくのサーキットだから、とアクセルを目一杯踏みこむと、目を覚ましたエンジンが急激に存在感を高めてしまう。が、一般道をイメージしたアクセルワークでは、例えエンジンのサポートが必要になった後でも濃度の高いEVフィールを味わい続けることが出来たのは、「ゆとりある排気量の心臓を緩く回しながら使える」という、従来の2リットルから2.4リットルへのエンジンに換装というリファインの効果が表れていることは間違いない。
EV走行可能距離は最大60kmほどだから、「100km/hで走ると30分ほどしか持たない」ことになるが、EV最高速は135km/hに達するから、平たん路では日本の合法速度域は全てエンジンを掛けずに走行可能という計算。
ちなみに、「理想を言えば、100kmくらいはEVとして走り切りたい」というのは、開発担当のエンジニア氏から聞き出すことが出来たコメント。それゆえ、そんな”理想値”を実現したクラリティPHEVのスペックは羨ましいには違いない一方、その暁には価格も重量も跳ね上がることになる…というのは、世界のPHEVに共通の悩みどころなのだ。
図らずものサーキット走行でチェックを出来た、速いテンポの走りでのフットワークは、思いのほかスポーティで自在度の高いハンドリング感覚が好印象。前出リアモーター出力の向上なども踏まえ、後輪側により大きなトルクバイアスを掛けた「スポーツモード」を新設するなど、三菱独自の4輪制御技術”S-AWC”を進化させたという謳い文句も、なるほど実感をすることが出来た。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
河村康彦|モータージャーナリスト
自動車専門誌編集部員を経て、1985年よりフリーランス活動を開始。現所有車はポルシェ『ケイマンS』、スマート『フォーツー』、そしてVW『ルポGTI』(ただしドイツ置き去り)。
(レスポンス 河村康彦)
一方で、駆動用バッテリーの容量アップや組み合わせるエンジンの一新など、ハンディキャップがあるからこそ腹を括ったという覚悟が伺えるのも、今回の大規模なリファインの特徴。こうして、ハイブリッドシステムに大きく手が加えられた最新モデルに乗れたのは、まだナンバープレートが付く前の段階ゆえ、「クローズドされたサーキットでの短時間走行」という条件付きとなった。
10.5秒という0-100km/h加速の発表値以上に加速が素早く感じられたのは、ゼロ発進初期にこそ大きなトルクを発する電気モーターの特性ゆえ。そんなタイムが従来型の11秒を上回るというのは、強化をされたリアモーターの出力に対して、そこに持ち出させるバッテリー出力も強化されたことを裏付けてもいる。
せっかくのサーキットだから、とアクセルを目一杯踏みこむと、目を覚ましたエンジンが急激に存在感を高めてしまう。が、一般道をイメージしたアクセルワークでは、例えエンジンのサポートが必要になった後でも濃度の高いEVフィールを味わい続けることが出来たのは、「ゆとりある排気量の心臓を緩く回しながら使える」という、従来の2リットルから2.4リットルへのエンジンに換装というリファインの効果が表れていることは間違いない。
EV走行可能距離は最大60kmほどだから、「100km/hで走ると30分ほどしか持たない」ことになるが、EV最高速は135km/hに達するから、平たん路では日本の合法速度域は全てエンジンを掛けずに走行可能という計算。
ちなみに、「理想を言えば、100kmくらいはEVとして走り切りたい」というのは、開発担当のエンジニア氏から聞き出すことが出来たコメント。それゆえ、そんな”理想値”を実現したクラリティPHEVのスペックは羨ましいには違いない一方、その暁には価格も重量も跳ね上がることになる…というのは、世界のPHEVに共通の悩みどころなのだ。
図らずものサーキット走行でチェックを出来た、速いテンポの走りでのフットワークは、思いのほかスポーティで自在度の高いハンドリング感覚が好印象。前出リアモーター出力の向上なども踏まえ、後輪側により大きなトルクバイアスを掛けた「スポーツモード」を新設するなど、三菱独自の4輪制御技術”S-AWC”を進化させたという謳い文句も、なるほど実感をすることが出来た。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
河村康彦|モータージャーナリスト
自動車専門誌編集部員を経て、1985年よりフリーランス活動を開始。現所有車はポルシェ『ケイマンS』、スマート『フォーツー』、そしてVW『ルポGTI』(ただしドイツ置き去り)。
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